数千年、あるいは1万年以上昔からアジアに花開いてきた文化や文明。その多くは滅び、記録は失われ、歴史の表舞台から消え去っていった。在りし日の華やかさを伝える巨大な遺跡だけを残して…。
アジア各地に残る巨大遺跡。それは人々を魅了し続ける一方、多くの謎に包まれてきた。
ところが最新研究の結果、そこに存在した文化や文明の脅威の姿が浮かび上がってきている。密林の中に作られた世界最大規模の巨大都市、西洋に2000年近くも先駆けた驚きの統治システム、富をくまなく循環させる奇跡の社会…。アジアの人々は従来の想像をはるかに超えた高度な文化や文明を築いていたのである。
そしてそこからは、かつてアジアが大切にしてきた重要な価値観が見えてくる。信仰や考え方の違いにとらわれず、自由に交流を深め共に栄えようとする精神。多民族を一つにまとめ、共存してゆく叡(えい)智。さらに、周りの環境を最大限に活用し、自然を破壊することなく持続的な繁栄をもたらす暮らし…。それは、西洋型の近代国家の発想とは全く異なるアジアならでは知恵である。
アジアに残された巨大遺跡の魅力と、そこに花開いた文化や文明の叡(えい)智をひも解いてゆく4回シリーズ。